フィジカルコンタクトを強くする方法はいたってシンプルです。
”練習で積極的に接触する”
この”接触する”ということを意識して練習に取り組むことができれば、確実にコンタクトに対してワンランク強くなることができるでしょう。
接触と言ってもやみくもに突進していくと怪我に繋がるので意識としては接触から逃げないという意識をもって練習をしよう!
これはオフェンス、ディフェンス関係なく行う必要があります。
【オフェンス】
- ディフェンスを押しのけながらドライブをする
- シュートの時に逃げずに接触しながらフィニッシュする
- オフボールでも体を当てながら押し込んで動く
【ディフェンス】
- バンプして進路の邪魔をする
- ディナイの時に体を当てる
- ポイント、ポイントで接触を作る
- オフェンスをライン側に押し出す
このほかにも様々なシチュエーションが考えられますが、オフェンスであれディフェンスであれマッチアップしているプレイヤーに対して積極的にコンタクトを作るように心がけましょう。
これらを常に意識して練習することで、コンタクトに慣れて、あたり負けしない強いフィジカルが少しずつ身に付いてきます。
重要なポイントとしてはマッチアップしているプレイヤーが思い通りに動けないように邪魔をするということです。
進行方向を妨害するのもそうですが、ファールにならない程度にコンタクトして「気持ちよくバスケができない」という心理状態になってもらいましょう。
これは当サイトのディフェンスの記事でも紹介している動画ですが、ディフェンスの名手スコッティ・ピッペンのコンタクトの仕方はとても勉強になりますよ。
フィジカル強化におすすめのトレーニングメニュー&グッズ!
それでは実際に効果が実感できたフィジカルコンタクト強化に最適のトレーニングを3つ紹介したいと思います。
今回のトレーニングでは怪我の予防も考えて、ボディミットと発泡スチロールの棒(プールスティック)を使用しています。
練習で怪我をしてしまっては元も子もないですからね。しっかりと強いコンタクトを作るために、必要なものは購入するなどして手に入れるようにしましょう。
フィジカルトレーニングを行う場合、接触がメインとなるため怪我をしてしまう危険性があります。コンタクトの強さには十分注意しましょう。
ミットは高額(2万円前後)な商品が多いのですが、バスケで使用する場合は1万円以下の「RYUJIN(リュウジン)」もしくは「マーシャルワールド」のミットで十分だと思います。
※RYUJIN(リュウジン)スーパーボディミットJRとスーパーダミーミット ライトは商品名は違うが同一商品…RYUJIN(リュウジン)はよく売り切れている
RYUJIN(リュウジン)スーパーボディミットJR ターポリン
①フィジカルコンタクト強化のためのミット練習【ボール運び編】
※5分54秒からはじまります
この練習はドリブルでボール運びをしている時のフィジカルコンタクトの強化を目的としています。
ポイントガードがフロントコートに運ぶ時に強いプレッシャーを受けても下を向いたり、ボールをファンブルしないようにするための練習なので、前や横から激しくミットで押してプレッシャーを与えましょう。
- 体の横で強くドリブルを突く
- コンタクトに負けない強い姿勢を作る
- 常に顔を上げて広い視野を持つ
- ドリブルチェンジの多用は控える
- いい姿勢で緩急を意識する
- ベースライン側ばかりは危険
1、体の横で強くドリブルを突く
ドリブルが弱いとちょっとの接触でボールをファンブルしてしまいます。フロントコートへボールを運ぶ前にカットされてしまうと即失点につながるため、ファンブルからのターンオーバーはガードとしては絶対に控えたいミスの一つです。
2、コンタクトに負けない強い姿勢を作る
姿勢が高いと接触に負けてしまうため、コンタクトがある時はしっかりと強い姿勢を作ってボールをキープしましょう。
3、常に顔を上げて広い視野を持つ
コンタクトに負けて下を向いてしまうとディフェンスにトラップ(ダブルチーム)を狙われたり、味方のオフェンスのチャンスを逃してしまいます。
強いプレッシャーがきても常にコート上に何が起こっているのかを把握するため、顔を上げてドリブルするクセをつけましょう。
4、ドリブルチェンジの多用は控える
ディフェンスのプレッシャーが強い時にチェンジを多用するとスティールされてそのまま即失点につながってしまう危険性が上がります。
特に安易なフロントチェンジはカットされやすく、バックビハインドなども体を止められてしまうとカットされることがあるので注意しましょう。
5、いい姿勢で緩急を意識する
フロントコートへボールを運ぶ時は緩急を意識して焦ることなくコートを広く使いましょう。バタバタしてしまうとコート上の流れが悪くなってしまい、後のオフェンスにも影響が出てしまいます。
しっかり落ち着いてゲーム状況に合わせたペースを考えるようにしましょう。
6、ベースライン側ばかりは危険
外へ外へ進んでしまうとディフェンスの思うつぼです。トラップ(ダブルチーム)の危険性もあるので奥のディフェンスの位置を確認しながらボール運びをしましょう。
②ドライブのフィニッシュ力強化のためのコンタクト練習!
このトレーニングは接触に負けない強いドライブを身に付けることを目的としています。
Amazonだとちょっと高いので購入する場合は100均ショップ「セリア」をお勧めします。
- 止まる時は強い姿勢でパンチストップ
- 強い姿勢で押し込む
- しっかりディフェンスに体を寄せる
- 足をディフェンスの近くに踏み込む
- ロールはオーバーしてきた時にする
1、止まる時は強い姿勢でパンチストップ
ディフェンスに止められた時にしっかりと強い姿勢でパンチストップできるように意識しましょう。そうすることで、カットされるリスクも減り、得点のチャンスが増えます。
2、強い姿勢で押し込む
コンタクトがあってもディフェンスを後退させるぐらい押し込めるようになりましょう。押し込むことでスペースが空きシュートチャンスが増えます。
3、しっかりディフェンスに体を寄せる
シュート前の接触の時に、しっかりとディフェンスに体を寄せて低く強く押し込めるようになりましょう。接触から逃げてしまうとカウントワンスローがもらえなくなってしまいます。
4、足をディフェンスの近くに踏み込む
シュート前の接触にて、外側の足で力強く蹴って内側の足をディフェンスのまた付近へ踏み込むことで、ディフェンスの接触に負けない強い体制が作れます。
5、ロールはオーバーしてきた時にする
ロールを使う場合は、ディフェンスがオーバーするようなシチュエーションを作ってからするようにしましょう。何も考えずにロールするのは禁物です。
③棒を使ったシュートフィニッシュ強化トレーニング!
このトレーニングは100均で購入したプールスティックを使用して、レイアップ時のコンタクトに負けない体の使い方やボールの動かし方の上達を目的としています。
- 叩かれてもファンブルしないようボールを保持する
- ボールを動かす
- 叩かれても逃げない
1、叩かれてもファンブルしないようボールを保持する
レイアップ時に叩かれる練習をしておくことで、試合中にハッキングされても最後までフィニッシュに行くための技術を身に付けることができます。叩かれる前提で強くボールを保持するクセも付くのでとても効果的なトレーニングになるでしょう。
2、ボールを動かす
ディフェンスの手が前にあっても強く保持し、なおかつボールを動かすことができれば、カウントワンスローになる確率が比較的に上昇します。逃げるばかりがフィニッシュではないのでしっかりとボールを動かしてあたりに負けないレイアップを身に付けましょう。
3、叩かれても逃げない
叩かれてしまうと顔が逃げたり、ディフェンスから離れたりしてしまうかもしれませんが、叩かれた時こそ、しっかりと強く踏み込んでフィニッシュできるクセを付けるようにしましょう。
なぜフィジカルコンタクトを強くするのか?
海外の選手に比べて日本の選手はフィジカルが弱いと言われてます。たしかに、身長や体重など身体能力の差があるのは否めません。
しかし、カラダが小さいからと言って諦めてしまうのはもったいないと思うのです。なぜなら、フィジカルで負けてしまうと高い技術があったとしてもその技術を発揮することができず負けてしまうことがあるからです。
戦うための土俵にすら立ててない!?
「こいつら当たり強すぎ…」
私が学生時代に強豪校と試合した時にまず思ったことです。技術はもちろんだけど、単純に彼らはフィジカルがむちゃくちゃ強い。でも彼らにとっては、そのフィジカルコンタクトが普通なんです。
なぜなら、日常的な練習の強度がそもそも高いからです。
しかし、フィジカルが弱いチームからすると、マッチアップしているだけでフィジカルに差があるから体力を削られてしまい、まったく試合にならないということも往々にしてよくあることです。
つまり、技術云々の前にまずはフィジカルを同程度のレベルに引き上げないと、戦うための土俵にすら立つことができないんです。
これまで何人もの日本人バスケットボールプレイヤーが海外に挑戦してきましたが、やはり口をそろえて言うのが「フィジカルの強さ」です。
上のカテゴリを目指すのであれば、必ずこの「フィジカルコンタクトの壁」にぶつかります。技術を磨くのはもちろん大事ですが、それと同時並行でフィジカルの強化もしっかりとおこなう必要があるというわけです。
日本人二人目のNBAプレイヤー渡邊雄太選手も206cmという身長がありながらも、「フィジカルをもっと強化しなくてはいけない」と言ってますからね。
小さい私たちがフィジカル強化をしないということはあり得ないわけです。
175cmのNBAダンク王ネイト・ロビンソンは体がえぐい・・・身長167とか169とか言われてたりするらしい。
フィジカルコンタクトは強化だけじゃなく慣れも必要!
フィジカルコンタクトにおいて「強化する」ということと同じぐらい重要なポイントがあります。それが「慣れる」です。
人間というのはどんな厳しい環境であれ順応しようとする能力があります。フィジカルコンタクトに関しても同じです。
最初は強いフィジカルコンタクトに負けて満足にプレーできなかったとしても、それが毎日続くことで体が順応し強いフィジカルコンタクトが普通になってくるんです。
この「慣れる」にも2つあって、ひとつ目は、強いコンタクトに日々対峙することで単純にフィジカルが強化されるという事、ふたつ目は、強いコンタクトに対してどう対処すればいいか、体の当て方や動かし方、いなし方がわかってくるという2つの慣れるがあります。
つまり日常的に強度の高いコンタクトトレーニングを行うことで、勝手に体がその環境に順応して、肉体的にも強くなりながら体の動かし方も上達していくのです。
このことからも、いかに日々の練習において強いコンタクトを伴ったトレーニングを継続して行うことが重要かわかっていただけると思います。
フィジカル強化についての小話
2015年ラグビーW杯で日本代表は3勝を挙げるという快挙を成し遂げました。これはラグビー史に残る快挙と言われています。ちなみに2011年までの日本代表の成績は1勝18敗1分…そう3勝するなんて、前の成績からするとありえない事なんです。
当時の日本代表は前評判ではそこまで強いとは思われていませんでした。じゃあ、なぜ強くないと言われていた日本代表が優秀候補の一角である南アフリカを開幕戦で破ることができたのか、今まで1勝しかできなかったのに3勝もできたのか…その答えはフィジカル強化にありました。
当時のラグビー日本代表の監督であるエディー・ジョーンズ氏は体格的に劣る日本代表を戦える状態にするために、ぎりぎりまで徹底したスタミナとフィジカル強化をしたのだそうです。
その練習は内容、量ともに通常の域を超える、と言われるほど厳しかったのだとか。中には厳しすぎてやめていった選手も少なくなかったらしいのですが、最後までその厳しい練習に耐え抜いた選手たちは世紀のジャイアントキリングをやってのけたのです。
そう、対等に戦うためには戦えるだけの肉体を手に入れる、ということがすごく大事だという事です。(ちなみに、ラグビー日本代表には日本に帰化した選手やハーフの選手もいますが、2011年30人中10人ー2015年31人中10人と比率はほぼ同じ)
まあ、ラグビーとバスケットボールは一概に同じとは言えないけど、やはり本質としては対等に戦えるだけのフィジカルを手に入れるのは必要不可欠と言えるでしょう。